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40男がひとりでフィンランドに行ってきた 第4回 ヘヴィメタルの聖地ヘルシンキで、ロック大好きの道産子がバーで語り合う

208 view更新日:2020年03月24日 情報提供:マイナビニュース

フィンランドというと、ほぼ100%の人が「ムーミン」、もしくは「マリメッコ」を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、魅力はそれだけに限らない。首都ヘルシンキと北海道の新千歳空港が直行便でつながったということで、実際に行って魅力や見どころを探ってきた。

……と連載をスタートしたものの、実を言うと10代からロックにどっぷりハマっている私がフィンランドと聞いて真っ先に思い浮かべたのは、ムーミンやマリメッコでもなく、「ヘヴィメタル」。

ロックファンにとってフィンランドは「メタル大国」としても有名なのだ。

フィンランドはメタルの聖地

北欧デザインなど、オシャレなイメージが強いフィンランドだが、実は「国民一人あたりのメタルバンドの数が世界で一番多い」という、他の国では聞いたことのない世界一のデータがある。

そして、さらにすごいのはバンドの多さだけでなく、そうしたバンドたちが次々と本国のナショナルチャート(日本でいうオリコン・チャートのようなもの)で1位を獲得しているということ。

そこまでメタルという音楽が国民に浸透し、親しまれている国は世界広しといえども非常に珍しい。

残念ながら編集部と決めた行程にメタル関連の取材はなかったのだが、せっかくフィンランドに行くのなら、いちロックファンとして"メタル大国"の空気を少しでも味わえたらと密かに企んでいた。

フィンランドといえばメタル。その片鱗は、フィンエアーに搭乗してすぐに垣間見ることができた。

ビジネスクラスの機内エンターテインメントは音楽系の映像コンテンツも充実していたが、そのラインナップの中で「メタル・ゴッド」の愛称を持つイギリスのヘヴィメタルバンド、ジューダス・プリーストのドキュメンタリーはひときわ異彩を放っていた。

内容は、1980年のアルバム「ブリティッシュ・スティール」の製作過程に迫った作品。何も知らなければ、「なぜ今この作品を?」「誰が見るの?」といった疑問が頭の中をよぎるセレクションだが、フィンランドがメタルの国と分かっていれば納得がいく。

なぜなら「ブリティッシュ・スティール」は、彼らが「メタル・ゴッド」と呼ばれる所以となった曲も入っているヘヴィメタルの名盤なのだから。とはいえ、ビジネスクラスでロブ・ハルフォードのインタビュー映像を見るのは、なかなか不思議な気持ちではあった。

また、ヘルシンキに着いて市内を巡っていても、メタルバンドのライブを告知するポスターが貼られていたり、チラシが置かれていたり、国内に根付くメタル文化を所々で感じることができた。

(訪問は)冬だったので見られなかったが、夏にはメタルバンドのTシャツを着て歩いている人も結構いて、市にはメタルの名所を巡るガイドツアーもあるそうだ。

ちなみにヘルシンキの中心部には「FAZER(ファッツェル)」という有名チョコレート店の本店があり、その看板もフィンランドをメタル大国だと意識しているからかメタルバンドのロゴのように見えたり。

愛されていたメタル文化

フィンランドのメタル事情をもっと知りたくて、フィンランド最大級のレコードストアチェーン「Levykauppa Ax」にも隙を見て行ってみた。

日本と同じようにジャンルに分けてレコードが並べられていた店内。その中でメタルはやはり別格の扱いを受けていた。

奥に設けられた専用コーナーには男性に限らず、女性客、それも20代くらいの若い人も訪れていて、ファンの裾野の広さを実感。

また、フィンランドの音楽雑誌も購入。内容は偶然にも「21世紀のフィンランドのベストアルバム特集」が組まれていて、選出された100枚のアルバムにはフィンランドのポップスやロックのアルバムに加え、メタルの名盤を複数紹介。

今もメタルが垣根なく親しまれ、地元で愛されているのがよく分かった。

ヘルシンキ市内のロックバーでメタルを堪能

メタルバンドが多いヘルシンキだけに、市内にはロックバーやライブハウスがたくさんある。海外で夜の街を歩くのは不安だったが、中心街はそれほど治安を悪く感じなかったのでホテルを抜け出し、ロックバーにも繰り出してみた。

※編集部注:ヘルシンキ市内は昼はもちろん、夜も女性が一人で歩けるほど安全だそう

向かった先は、ヘルシンキで有名なロックバー「THE RIFF」。ここはThe 69 Eyesというバンドのドラマーが経営しているそうで、店内にはロックミュージシャンのサイン入りの写真パネルや楽器などが壁一面に飾られ、それを見るだけで心が躍る。

客層がメタルの怖いイメージとはほど遠い、品の良さそうな大人ばかりで、BGMはメタルなのに、とても落ち着く、ゆるやかな時間が流れていた。

ちなみに支払いは1杯ずつ精算するキャッシュ・オン・デリバリー。フィンランドはキャッシュレスの先進国で、ドリンク1杯でもクレジットカードが使える。

ロックバーでメタルを語り合う

「THE RIFF」を出てもう一軒、より中心地にある「Base Bar」にも足を運んでみた。こちらは客層が若めで、壁にはキッスやオジー・オズボーンなどロックアーティストの絵がペイントされていた。

ここでメタル好きなフランス人カップルと知り合い意気投合。せっかくなので2人に「なぜフィンランドでヘヴィメタルが受け入れられているか」を聞いてみると、興味深い答えが返ってきた。

自身もメタルバンドで活躍するアレックスさんは、フォークやバイキング文化などフィンランドや北欧の音楽的ルーツに関係があるのではないかと推測しつつ、「一番は良いバンドがたくさんあるから。それだけファンも増えていったんだと思う」と話す。

一方でダフネさんは「フィンランドの歴史が関係しているのではないか」と思案。

実はフィンランドは独立してまだ100年ほどしか経っておらず、それまではスウェーデンに約650年、ロシアに約100年支配されてきた歴史を持っている。メタルはその独立に向けて戦ってきたフィンランド人の精神やDNAを鼓舞しているのではないかと分析。

歴史も踏まえて考察とは、さすがは同じヨーロッパ圏ならではの視点だし、どこか説得力もあるような話だ。

フィンランドがメタル大国となった理由には、国のサポートがあったからなど、他にも諸説ある。だが、その真相は分からない。

ただ一つ言えるのは、フィンランドにはたくさんメタルバンドがいて、その音楽は国内だけでなく、世界中の人たちをつなげてくれるということ。

2人との出会いに、改めてロック好きで良かったと思う夜だった。

取材協力:フィンエアー、フィンランド政府観光局

※記事中は1ユーロ=120円で換算

筆者プロフィール: 児玉源太郎

1973年生まれ。友人とフリーペーパーを創刊したのを機にライターとなり、幅広い分野の制作物を手掛ける。近年はクリエイティブディレクターとしても活動。コミュニティFMの洋楽番組「週刊ウーロック」のDJも務める。

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