ソースカツ丼かパリ丼か、それとも越前ガニか! 福井グルメで幸福感に浸る - tabico

ソースカツ丼かパリ丼か、それとも越前ガニか! 福井グルメで幸福感に浸る

21 view更新日:2017年12月11日 情報提供:マイナビニュース

2015年3月14日に石川県金沢駅までが開通した北陸新幹線。これまで遠く感じていた日本海沿岸へのアクセスが驚くほど速くなり、都内からの観光客も増加の一途だが、来たる2023年春には、福井県敦賀市までその路線を延伸する。より身近となる日本海を肌で感じるべく、一足先に敦賀グルメの旅に向かうことにした。

ここ敦賀市はこれまで、原発の街として知られてきた。しかし、現地に降り立って感じたことは、何より豊富な観光資源。なかでもご当地で愛され続けているグルメは、知る人ぞ知る名物なのだ。おいしいだけでなくそのボリュームも話題の敦賀市グルメ、余すところなく堪能するために、まずは昼飯時を狙って早朝の新幹線に乗り込んだ。
○敦賀名物「ソースカツ丼」誕生秘話

東京駅から約4時間半。暴れる空腹の虫を何とかなだめつつ、ご当地グルメで知られるソースカツ丼にチャレンジすることに。早速、敦賀市屈指の名店「敦賀ヨーロッパ軒本店」にお邪魔した。

ヨーロッパ軒は、大正2(1913)年11月28日に東京都早稲田鶴巻町(現在の新宿区)で誕生した。ドイツでの料理修行を終えた高畠氏が創案したこの丼、揚げたてのカツをソースにくぐらせ白米と食べるというスタイルで、卵とじのカツ丼とは一線を画しており、開店と同時に話題を振りまいたという。

大正12(1923)年9月、関東大震災で混乱した関東を離れて福井へ凱旋。翌年の大正13(1924)年に福井で開店した。そうした歴史ある名店の暖簾分け第一号店として、昭和14(1939)年に敦賀で開店したのがこの店だ。

気になる人気メニューは、看板メニューのソースカツ丼ともうひとつ。創業者がヨーロッパで修行したことと、敦賀はかつてパリへ旅立つ窓口だったことにちなんで命名したとされる「パリ丼」(税込840円)だ。激しい雄たけびをあげる空腹の虫をなだめるべく、せっかくなので両方のメニューを頼むことにした。

ヨーロッパ軒の特徴のひとつに、揚げたてのカツを使用する、ということがある。カツ本来のおいしさを味わってもらうためには、揚げたてを提供するというこだわりの表れがそうしているのだ。

一刻も早く、泣き叫ぶ胃袋を満足させたい時というのは、わずか10分ほどの時間すら惜しく感じるもの。まだか、まだかと首を長くしていると、「お待たせしました」というにこやかな笑顔とともに2つの丼が現れた。
○ボリューム満点! 旨味が引き立つソースカツ

おなかと背中がくっつくほどの空腹状態で、このガッツリ飯のコンビネーションはまさに渡りに船。「いただきます」の挨拶すらろくにせず、まずは「ソースカツ丼」(税込840円)に食らいつく。

サクッサクッっと口の中で音を立てるカツには、揚げたてのサクサク感を生かすために、目の細かい特性のパン粉を使用。ラードヘッドで揚げてあるので、約1cmに薄くスライスされたロース・モモ肉の持つ豚の旨味がなおさら引き立っている。

そして、カツの味の決め手はウスターソースをベースに各種の香辛料を加えた秘伝のタレ。何とも日本人好みのツーンとした酸味と同時に、まろやかな甘みが広がるのだ。

もう、これだけで満足な味わいなのだが、さらに仕掛けがしてあるのがヨーロッパ軒ならでは。熱々の白米にはもち米がブレンドされており、ふわっとするだけでなくもっちりとした食感が、カツと口の中で絡み合うではないか。日本人の王道である、ご飯とおかずのコラボレーションを、丼ひとつで再現しているテクニックは、数あるご当地ソースカツ丼の中でも群を抜いている。

まさに看板メニューと言えるソースカツ丼ではあるのだが、パリ丼はいったいどうなのだろう。がっつり食べた後では、厳しい評価になってしまいかねないのだが……。

しかし、載せられたメンチカツを食べた途端、そんな心配は無用であったことが分かった。なによりこのメンチカツ、肉汁が溢れんばかりにしたたるではないか。カツ同様、サクっとしているのだが、口いっぱいに広がる肉汁と秘伝のタレが絶妙なハーモニーを生み出し、これぞ料理人の計算しつくした技ともいえるご馳走なのだ。

かつて日本の旅人たちはこの敦賀から大陸に渡り、シベリア鉄道でパリへと向かった。肉汁のあふれるメンチカツが口の中で秘伝のタレと踊る度に、当時のモダンな光景が脳裏を横切る。そんなロマンチックな逸品が、このパリ丼と言えるだろう。

●information
敦賀ヨーロッパ軒本店
福井県敦賀市相生町2-7
アクセス: JR「敦賀駅」より敦賀市コミュニティバス神楽町下車徒歩5分
営業時間: 11~20時
定休日: 月・火曜日
○北陸グルメの王様「越前ガニ」に食らいつく!

いくら空腹だったとはいえ、これだけの丼を食べればすっかり腹の虫も大人しくなる。腹十二分目というくらいの満腹感ですっかりご満悦なのだが、この敦賀には国内屈指の海鮮があるというではないか。

そう、「越前ガニ」こそ敦賀のグルメ王なのだ。ここまで来た以上、この海鮮の王様を食べずに帰ることはできない。解禁直後ということもあり、朝の港は越前ガニで大忙しとのこと。しばし市内観光をして、夜のカニ尽くしに備えることにした。

街並みや気比神宮などを一通り散策し、この日の夜にホテルへチェックイン。大浴場で旅の汗を落としたあとは、早速、越前ガニを満喫することに。向かった先は名子海水浴場のそばにある「長兵衛」。敦賀湾に面した宿なのだが、本物の越前ガニが食べられると評判の店だ。

北海道のタラバガニや毛蟹同様、北陸地方ではズワイガニが知られている。その中でもこの敦賀湾で揚がったものは越前ガニと呼ばれ、最高級のブランドなのだ。街中で安く振る舞われているのはいわゆるズワイガニで、越前ガニとは違う。

越前ガニの特徴は「カニビル」と呼ばれる黒いブツブツが甲羅についていること。これはヒルの一種で、細長い体で魚に付着して体液を吸っているそうだ。越前ガニについているのはこのヒルの卵だそうで、砂地に生息しているらしい。つまり、カニビルがついていることで、そのズワイガニがどこで育ったのかが分かるというのだ。

ただ、同じズワイガニだけに、本当に越前ガニなのか不安はある。そこで目安になるのが、市場でカニの爪につけたタグ。ズワイガニはその産地で6種類のタグがあるのだが、越前ガニは黄色。このタグをつけたズワイガニこそ、グルメの王様の証なのだ。

お座敷に案内され、越前ガニ同様、ご当地グルメをしばし堪能する。子持ちの甘エビやフグ、越前豚などそれだけでも食通を満足させるラインアップだ。

これだけでも満足なのだが、やがて越前ガニがその雄姿を見せた。まず驚くのはそのサイズ。笹を敷いたザルの上に茹でられた越前ガニは、その幅約70~80cmはあろうか。ズワイガニとはこんなにも大きく育つのかと、目を疑うサイズなのだ。

そして、甲羅には黒い斑点のようなカニビル。これぞまさしく越前ガニの証拠だ。さらに裏付けるように、これでもかといわんばかりの「越前ガニ」という黄色いタグ。どこから見ても、これは噂に聞いた越前ガニであることに間違いはない。

どこから手をつけたらいいのか思案していると、運んできてくれた店員さんが食べる手ほどきを。まず裏返したら、半分に折りたたむように甲羅をはがず。するとカニ味噌を残してきれいに分断される。すぐにでも食べたくなるのだが、フンドシと呼ばれるビラビラした見た目のエラは食べたらダメ。人によっては呼吸困難に陥ることもあるため、これをすべてこそぎ取る。

そこまでできたら準備完了! あとは欲望の赴くまま、越前ガニの全てを食らいつくすべし。

それまで感嘆の声をあげながら宴を楽しんでいた面々が、越前ガニを解体し始めた途端、無口になる。誰もがカニを食べる時、無口になるため接待には向いていないと言われることがある。

しかし、本物を食すれば話は別! この越前ガニを食べて、接待は失敗したと誰が思うのか。足いっぱいに詰まった甘い身。プリプリの筋肉質でも柔らかい爪肉。そして、いつまでも舐めていたくなる濃厚で甘みのあるカニ味噌……。

その一つひとつが口のなかで合わさり、バラされたはずの越前ガニがひとつのグルメとして再現される。おいしいという表現を通り越し、もはや至福の味といっても過言ではなかった。ハイエナのようにむさぼりついて食べる姿は、あまり格好のいいものではない。しかし、そうしたことを全てチャラにしてくれる。そんな魅力も併せ持つのが越前ガニだ。

満喫したあとに石鹸で手を洗ってもまだ、カニの匂いはとれない。ホテルに帰ってベッドインしても、ほのかにカニの香りがする。越前ガニを食べ尽したと同時にカニに身も心も捧げた気分とは、こういうことをいうのかもしれない。

●information
海辺の宿 長兵衛
福井県敦賀市名子43-3
アクセス: JR「敦賀駅」より福鉄バス常宮立石線で約20分
営業時間: 11~14時、17~21時
定休日: 月曜日
○越前ガニを買うなら漁港へGO!

翌朝、敦賀漁港に隣接する相木魚問屋へと立ち寄る。ここは越前ガニの名づけ親としても知られる問屋だ。

戦後間もないころ、日本一の食材が集まる東京築地市場に挑み、秀逸と絶賛された越前のかにを「越前かに」と名付けた相木氏。今でも、一パイずつ身とミソの具合を見抜き、目にかなったものだけを相木ならではの技で仕上げている。ここなら、手ごろな価格で食べられる越前ガニが見つかるかもしれない。そしてそこには、リーズナブルな越前ガニがいたのだ。

越前ガニとして食べられるのは、実は雄。雌はこれに比べてサイズも小さいのだが、それならではのおいしい食べ方がある。別名「セイコガニ」と呼ばれるのだが、この時期は卵を抱えており、これを食べるのがまた別格の味わいなのだ。

口の中で弾ける一粒一粒からは、濃厚な磯の香りがほんのりと漂い、雄の味わい方とは別のおいしさがある。もちろん、細くて小さいがその身も格別な旨味だ。しっかりとカニの味が凝縮されており、これならお土産に買うこともできてうれしいと言える。

●information
相木魚問屋
福井県敦賀市蓬莱町16-11(魚市場前)
アクセス: JR「敦賀駅」より車で5分

前日からグルメ尽くしの旅であったがさすが北陸、飽きさせることなく舌鼓をうてるメニューが並んだ。なかでも越前ガニとの出逢いは、これまでのカニ人生においても最大級の衝撃だった。後ろ髪を引かれる思いではあったが、またいつの日か訪れることを誓い、敦賀の地を後にしたのだった。

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