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東急東横線の今と昔--東白楽~横浜を中心に廃線・廃駅を巡る旅

44 view更新日:2017年04月19日 情報提供:マイナビニュース

●東横線にかつて存在した"幻の駅"、東横線にも神奈川駅が
鉄道の廃線・廃駅と聞けば、多くの人は地方のローカル線で、採算がとれずに廃止になった路線を思い浮かべるのではないか。もし、東京と横浜という大都市間を結ぶ路線に廃線区間があると言えば驚くかも知れないが、実は渋谷駅と横浜駅の間、24.2kmを結ぶ東急東横線には複数の廃線区間が存在する。今回は、東横線の廃線・廃駅を探訪する旅へと出かけよう。

東白楽~横浜の地下化による廃線跡へ

まず向かうのは、横浜駅から渋谷方面に2駅先の「東白楽」駅だ。以前は東横線の運行形態はシンプルで、「普通」と「急行」しかなかったが、現在は「特急」「通勤特急」なども運転されている。目指す東白楽駅は普通電車しか停車しないので、乗り間違えないように注意しよう。

横浜駅から次の「反町(たんまち)」駅へは所要時間1分、反町駅から東白楽駅へは2分ほどで、あっという間に着いてしまう印象だ。東白楽駅は高架駅になっており、地上に降りたら、まずは目の前を通る県道(横浜上麻生道路)を渡ろう。昔はこの県道を横浜市電六角橋線が走っていたが、昭和47(1972)年に廃止になった。

東横線の高架をくぐった先の路肩に周辺の案内板があり、他のいくつかの遊歩道とともに「東横フラワー緑道」が地図で案内されている。この東横フラワー緑道こそが、平成16(2004)年の東横線とみなとみらい線との直通運転開始に伴い地下化された、東白楽駅~横浜駅間の地上線の廃線跡で、東白楽駅から緩やかな弧を描くようにして、横浜駅に向かって伸びている。この緑道を歩いて、横浜駅を目指すことにしよう。

かつて存在した"幻の駅"の跡も

東横線の線路に沿うようにして歩いていくと、やがて前方に地上を走る東横線の線路が地下へと潜り込む開口部が見えてくる。この開口部をまたぐように、歩道橋が架けられており、橋の上からは電車が地下に吸い込まれたり、地下から吐き出されたりする様子が眺められる。

ここから先は地下を走る東横線の真上に緑道が整備されており、時折、換気口から地下を通過する電車の音が聞こえてくる。歩道橋から200mほど歩くと緑道を横切る道との交差点に道標が立っていて、左へ進むと「神奈川区総合庁舎」と示されている。

うっかりすると見逃してしまうが、実はこの場所は東横フラワー緑道の見所のひとつなのだ。交差点の角のマンションの植栽の中に、駅の乗り場案内のプレートをモチーフにした小さな案内板があり、「新太田町駅跡」と書いてある。

新太田町駅というのはかつて存在した東横線の駅で、昭和20(1945)年に空襲で焼失後、昭和21(1946)年に廃止された。その後、昭和24(1949)年に開催された日本貿易博覧会の会期中のみ、「博覧会場前」駅として復活したことから"幻の駅"とも言われるが、現在は案内板を除けば、周囲を見渡してもかつての駅の痕跡は何も見当たらない。

最大の見所「高島山トンネル」へ

さて、散歩を続けよう。この道は、"フラワー緑道"というだけあり、さまざまな草花が植えられていて色彩豊かだ。取材に訪れた日はちょうど桜が見頃を迎えており、チューリップなど春の花も咲いていた。また、足元を見れば、部分的にではあるがボードウォークにレールがはめ込まれている箇所もあり、"廃線旅"の雰囲気が味わえるのも楽しい。

新太田町駅跡から300mほど歩を進めると前方に階段が見えてきて、緑道は階段の上へと続いている。ここは反町駅の手前で、かつては東横線が国道1号線をまたいでいた場所で、鉄道の架道橋がそのまま、「東横フラワー緑道反町橋」として整備されているのだ。

橋を渡って先へ進むと、レンガでレールが表現された歩道が続き、やがて前方に「高島山トンネル」の入口が見えてくる。この鉄道トンネルをそのまま再整備した全長約174mのトンネルこそが、東横フラワー緑道の最大の見所かもしれない。

ちなみに、高島山トンネルが貫通する高島山は、新橋~横浜間に日本で初めて鉄道を敷設する際に、横浜の海の埋め立て工事を請け負った横浜の実業家・高島嘉右衛門(1832~1914)が別邸を構えた場所として知られている。緑道から少し外れるが、トンネルの西側から住宅地の中の石段を登った先にある「高島山公園」には、嘉右衛門を顕彰する「望欣台(ぼうきんだい)の碑」がある。

公園からは川崎・東京方面の景色を一望でき、また、公園から少し歩いて丘の反対側の斜面に行けば、横浜駅西口の繁華街を見渡せるポイントもある。もし時間が余裕があるなら、高島山散歩もオススメだ。

東横線にも神奈川駅があった

緑道に戻り、高島山トンネルを通り抜けた先の左手には、植栽されたちょっとしたスペースがある。ここは、かつて存在した東横線の「神奈川駅」の跡だ。開設当初の神奈川駅はここから少し離れた場所にあり、その後、トンネル出口付近に移設されたので「二代目神奈川駅跡」ということになる。

また現在、京浜急行線にある神奈川駅とは、距離的には近いが別の駅である。東横線の神奈川駅は、東横線が建設された大正15(1926)年に暫定の終着駅として設置され、その後、昭和25(1950)年に廃止されるまで存続した。

さて、トンネルから200mほどの「台町入口」の交差点で緑道は終点になっている。緑道を歩くだけなら、東白楽からここまで、ゆっくり歩いても1時間はかからない。ここから横浜駅西口までは、直線距離で500mもないくらいだが、初めて訪れる際はこちら側の緑道の入り口は探すのは難しいかもしれないので、東白楽駅側から歩くのをオススメしたい。

●information
高島山トンネル
アクセス:東急東横線「反町」駅から徒歩3分
通行可能時間 6:00~21:30

横浜駅に到着したら、JR根岸線で次なる目的地「桜木町」駅へ向かうことにしよう。

●車窓から廃線跡を眺める - 家系ラーメンの老舗で小休止
○JR根岸線の車窓から見える東横線の廃線跡

桜木町駅へは市営地下鉄ブルーラインでも行くことができるが、あえて根岸線を使うのは、2004年のみなとみらい線との直通運転開始と同時に廃止になった、横浜駅~桜木町駅間の廃線跡が車窓から見えるからだ。

東横線の廃線は根岸線にほぼ寄り添うように桜木町駅まで続いており、途中には、この区間唯一の途中駅であった「高島町」駅のホームが、ほぼそのまま残されているのも見ることができる。桜木町駅の西口へ降り立つと、東横線の駅跡地が広場として整備されているが、その先の線路へは2017年4月現在、工事用のフェンスが設置され立ち入ることができない。この横浜駅~桜木町駅間の廃線跡も、横浜市によって現在、緑道として整備中だという。

さて、ここから横浜駅に戻るように散歩を開始しよう。先ほど根岸線の車窓から見た廃線跡を、今度は下から見上げながら歩くことになる。国道16号に沿って歩いていくと、桜木町六丁目の交差点付近に、旧東横線、根岸線、それに首都高の高架に埋もれるようにして小さな踏切があるのを見つけた。

踏切名は「三菱ドック踏切」、路線名は「高島単線」とあるが、この高島線という路線はJR東日本が所有しているが、現在はもっぱらJR貨物の貨物列車が運転されているという。今回のテーマである東横線の廃線とは直接関係ないが、面白いものを見ることができたなと思う。

二代目横浜駅の遺構

先へ進み、国道1号との交差点に架かる「高島歩道橋」を渡ると、その先に小さな広場と公衆トイレがあり、壁に「二代目横浜駅遺構(マンション敷地内)」と書かれた看板が張られている。気になったので、マンションの敷地ではあるが入ってみると、「横浜市市街地環境設計制度」に基づいて誰でも自由に出入り可能な公開空地に、レンガ造りの遺構が保存されているのが見える。

この遺構は、大正4(1915)年に開業された後、大正12(1923)年の関東大震災で焼失したという、わずか8年の短命に終わった二代目の横浜駅の建物基礎部分だ。ちなみに、初代の横浜駅の跡は現在の桜木町駅の付近にあり、現在の横浜駅は三代目になる。

ここからさらに東横線の廃線跡は、京浜急行の線路や帷子川(かたびらがわ)を超えて、横浜駅のすぐ手前まで続き、終点部分は切断され、断面を露わにしている。廃線の終点部分の様子は、調査した限りでは地上から確認するのは難しく、根岸線や東海道線の小田原方面行きの車窓から見られるのみだ。

東横フラワー緑道周辺で食べたいグルメ

さて、本稿でメインで紹介した東横フラワー緑道周辺でランチをとるならオススメしたいのが、東白楽駅から六角橋交差点に向かう途中にある、いわゆる"家系(いえけい)"ラーメンの老舗「六角家」だ。

同店は1994年~2003年まで「新横浜ラーメン博物館(ラー博)」にも出店した有名店だが、店のたたずまいも内装も至って飾り気なく、"街のラーメン屋さん"という雰囲気だ。1杯税込650円のラーメンは、モッチリした太麺に濃厚な豚骨醤油スープという組み合わせ。男のラーメンというイメージだが、女性客の姿も見かけるし、休日はファミリーで訪れるお客さんもいる。

さて、今回は東横線の廃線跡2箇所を歩いてみたが、東横線にはさらにもう1箇所、東京メトロ副都心線乗り入れによる渋谷駅~代官山駅間の地下化による廃線跡もあり、その内の一部はすでに商業施設として生まれ変わるなど、新たな活用が始められている。その土地に刻まれたさまざまな歴史に触れられたり、思わぬ発見があったりと、興味が尽きない廃線旅は鉄道ファンならずとも楽しめだろう。

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト、オールアバウト公式国内旅行ガイド。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に取材・撮影を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。

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